書物復権2021 共同復刊25 復刊書目決定!

書物復権によせて

伊達聖伸(だて・きよのぶ)
1975 年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は宗教学、フランス語圏地域研究。『ライシテ、道徳、宗教学』(勁草書房)、『ライシテから読む現代フランス』(岩波新書)など多数。

 コロナ禍で変化を余儀なくされた研究生活が続き、出張ができない代わりに本を買いまくっている。家のスペースを気にしつつ、『中江兆民全集』に『ゾラ・セレクション』、ジャン・ジョレス『仏蘭西革命史』から『フェルナン・デュモン著作集』(仏語)まで、これを機に入手した。いずれもリーズナブルな価格の古本で、ネットで注文して研究費で購入できるというのは便利で恵まれたことではある。

 昔はそうではなかった。気になる本は必ず買っておけと言われても、そのための費用がなかった。留学奨学金の額面設定はよくできていて、家賃と食費はカバーできても、書籍購入までは回らない。図書館で読めというのである。史料をデジカメに収めることも、論文のダウンロードも一般化していなかった。一時帰国の際に仕入れた煎茶を淹れたら、残った茶葉に胡麻と鰹節を散らし、醤油を垂らして一皿にしていた時代の私である。複写できる本のコピー代すら惜しく、フランス語で書く力もつくからと、気になる本の一節は、ファンの音が気になるノートパソコンへの打ち込みではなく、ルーズリーフに手書きで写した。19 世紀の文献はもちろん、宗教学の事典やライシテの論集、齧り読みの本からの抜き書きは長い修行時代の物的証拠となっている。

 そうした時代の思い出の本を買って自分の本棚に並べることができるようになると、今度は研究に没頭できる時間が少なくなっていく。購入資金はあっても、品切れや絶版で手に入らないこともある。日本の専門書が市場から消えるスピードは、フランスよりも早いようだ。良書の復刊は実にありがたい。松宮秀治『芸術崇拝の思想』(白水社)は、近代芸術の宗教性を時代に埋め込み直して考えるよき伴侶だ。ダナ・ハラウェイ『猿と女とサイボーグ』(青土社)は、宗教と世俗の歴史のなかで人間概念の変貌を考察するのに有力な補助線となる。西洋キリスト教由来の「宗教」概念だけでは日本や東アジアは見えないと思って取り寄せた本のひとつが、溝口雄三『方法としての中国』(東京大学出版会)。私の手元に届いたのは、いずれも書物復権で甦った版のものだ。

 自分史の文脈でも、出版市場の文脈でも、回帰する書物がある。そのネットワークのなかで、昔はよくわからなかった物事の理解が進み、次第に自分の立ち位置やそこから眺める世界の景色が見えてくることがある。たんに「探す」(chercher)のと「研究する」(rechercher)ことの違いは、後者の粘着的な反復性にある。「宗教」(religion)の語源は、「再び結びつける」を意味するラテン語≪ religare ≫ と「再読する、整理する」を意味する≪ relegere ≫ にあると言われる。一度交わった本と私の関係を結び直し(昔買えなかった本を買い)、その本を折りに触れて読み返すこと。私が従事する世俗の時代の宗教学も、この意味では宗教の基本に沿った営みであり、書物復権との相性もよいようだ。


[ごあいさつ]

 2021 年、第25 回目の11 社共同復刊、今回も多数のリクエストをいただきありがとうございました。2 月28 日までの期間中に、紀伊國屋書店内公式サイト、復刊ドットコムの特設サイトおよびFAX で、受けつけたリクエストは総数約4,200 票、最多書籍には126 の票が寄せられました。いただいたコメントには、それぞれの書目に対しての皆さまからの熱心な要望が伝わっており、各発行出版社はこの結果を元に、復刊書目の選定をいたしました。今回の共同復刊で実現できなかった書目からも、各社独自の方法で復刊を予定している場合もあり、1 点でも多くの品切れ書の復刊の実現にむけて努力してまいりますので、今後の各社の復刊情報にご注目くださるようお願いいたします。
 今回、各発行出版社の判断により復刊を決定した書目は43 点43 冊。書籍は5 月下旬より全国約200 の協力書店店頭にて展示されますので、足をお運び頂けましたら幸いです。
 今年も充実した復刊ラインナップができました。来年以降も、読者の皆様のご期待に添えるように活動を継続させて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2021年〈書物復権〉共同復刊 開催書店(PDF)

[ご案内]

・刊行はすべて、2021 年5 月下旬を予定しています。
・内容についてのお問い合わせは発行出版社までお願いします。


復刊書目

紀伊國屋書店 ウェブストアでご予約・ご購入いただけます
書物復権2021 リーフレット(PDF)

〔2021復刊書目〕 哲学・思想・言語・宗教

紀伊國屋書店
希望の革命 技術の人間化をめざして〈改訂版〉
エーリッヒ・フロム/作田啓一・佐野哲郎訳
初版1970・最終版2010年◆四六判◆240頁◆税込2860円(本体2600円)◆ISBN978-4-314-00065-9
機械化され、大量生産と消費に覆いつくされた現代社会では、人間の感情は枯渇していく。社会の病理を分析し、人間が主体性を取り戻すための行動提起の書。

紀伊國屋書店
涙と聖者〈新装版〉
E.M.シオラン/金井裕訳
初版1990・最終版1990年◆四六判◆168頁◆税込3300円(本体3000円)◆ISBN978-4-314-01184-6
「私たちを聖者に近づけるものは(略)私たち自身の最深部に睡っている涙の目覚めである」─祖国を離れパリに移った年に書かれた、若きシオランの感情の激発。

勁草書房
オースティン哲学論文集
J.L.オースティン/坂本百大監訳
初版1991・最終版2009年◆四六判◆496頁◆税込4620円(本体4200円)◆ISBN978-4-326-19885-6
言語行為論の創始者として知られるオースティンの論文集。言語行為に関わるもののほか、意味、他我、真理などをめぐる論稿を収める。

勁草書房
連帯の哲学Ⅰ フランス社会連帯主義
重田園江
初版2010・最終版2010年◆四六判◆320頁◆税込3520円(本体3200円)◆ISBN978-4-326-35154-1
究極のエゴイストでも聖人でもない人たちの、ありうる結びつきとは? 彼らに力を与え、「生きる術」となる連帯について考える。

青土社
悪魔学大全
ロッセル・ホープ・ロビンズ/松田和也訳
初版1997・最終版2009年◆A5判◆652頁◆税込5720円(本体5200円)◆ISBN978-4-7917-7382-4
中世から近代にいたる悪魔学の主要な文献をくまなく渉猟し、西欧の恥部ともいわれる魔女裁判の全景を浮き彫りにする。空前絶後の悪魔学事典。

青土社
縄文語の発見
小泉保
初版1998・最終版2013年◆四六判◆284頁◆税込2860円(本体2600円)◆ISBN978-4-7917-7383-1
日本語の起源を弥生時代とする従来の説を排し、その濫觴を縄文時代に求め、日本語学における難問をここに解き明かす。

創元社
聖なるもの
ルードルフ・オットー/華園聰麿訳
初版2005・最終版2009年◆四六判◆360頁◆税込3850円(本体3500円)◆ISBN978-4-422-13005-7
宗教における「聖なるもの」の本質とは何か?付録にオットーの比較宗教研究論文「仏教におけるヌミノーゼなもの」も収録。豊富な訳注・索引付き。

東京大学出版会
旧約における超越と象徴 解釈学的経験の系譜 増補新装版
関根清三
初版1994・最終版2006年◆A5判◆648頁◆税込13200円(本体12000円)◆ISBN978-4-13-010150-9
旧約テクストの解釈を通して、超越の顕現する時処を問う。神が、いつ、どこに現われるかの象徴分析から、代贖思想の成立にいたる旧約思想を解明。

白水社
ランシエール 新〈音楽の哲学〉
市田良彦
初版2007・最終版2007年◆四六判◆269頁◆税込3520円(本体3200円)◆ISBN978-4-560-09847-9
美学と政治学を架橋させながら様々な事象を考察する哲学者の思想を〈音楽=言語〜反・歴史、反・文化〉という切り口から語る挑発的論考。

法政大学出版局
精神分析と横断性 制度分析の試み〈新装版〉
F.ガタリ/杉村昌昭、毬藻充訳
初版1994・最終版1994年◆四六判◆462頁◆税込5500円(本体5000円)◆ISBN978-4-588-14060-0
ドゥルーズ=ガタリの思想的源流。精神分析界の異端児ガタリの思想遍歴の書、先鋭かつ独創的な思考の結晶。各論考の意義を明確に位置づけたドゥルーズの序文を付す。

法政大学出版局
物の体系 記号の消費
J.ボードリヤール/宇波彰訳
初版2008・最終版2008年◆四六判◆280頁◆税込3520円(本体3200円)◆ISBN978-4-588-09910-6
《記号としての物》という、物の見方についての根本的な転換を行ない、記号として物を消費している現代社会の構造を鋭く分析。

法政大学出版局
欲望の現象学 ロマンティークの虚偽とロマネスクの真実
R.ジラール/古田幸男訳
初版2010・最終版2010年◆四六判◆368頁◆税込4400円(本体4000円)◆ISBN978-4-588-09928-1
人間および人間社会がたどってきた歴史の次第に悪化するプロセスを、セルバンテス、スタンダールをはじめ、ロマネスク文学作品の社会学的・心理学的分析を通して解明。

法政大学出版局
事実/価値二分法の崩壊
H.パトナム/藤田晋吾、中村正利訳
初版2011・最終版2011年◆四六判◆254頁◆税込3190円(本体2900円)◆ISBN978-4-588-09942-7
大衆文化や哲学思想・社会科学などにおいて歴史的にさまざまな形で展開され擁護されてきた事実/価値二分法の根底的思考に論争を挑むパトナム哲学の批判的考察。

みすず書房
ヒューマニズムとテロル
モーリス・メルロ=ポンティ/合田正人訳
初版2002・最終版2002年◆四六判◆360頁◆税込3960円(本体3600円)◆ISBN978-4-622-09021-2
共産主義への「入党なき共鳴と自由検討」の中に「暴力とは何か」という今日なおアクチュエルな問いを投げかける。サルトルほかの書評3篇を収録。新装で復刊。

みすず書房
アウグスティヌスの愛の概念
ハンナ・アーレント/千葉眞訳
初版2002・最終版2012年◆四六判◆312頁◆税込4290円(本体3900円)◆ISBN978-4-622-09022-9
『告白』の著者に対峙して、他者の有意性という問題、社会のきずなの存在論的根拠を論じた、アーレント政治哲学の出発点。著者23歳のデビュー作。新装で復刊。

〔2021復刊書目〕 社会

吉川弘文館
近代家族と子育て
沢山美果子
初版2013・最終版2013年◆A5判◆288頁◆税込4950円(本体4500円)◆ISBN978-4-642-03819-5
「子育て」はだれが担うのか? 近代の家族規範のもとで、女・男・子どもはいかに生きてきたのか。現在につながる問題の起源に迫る。

〔2021復刊書目〕 歴史・民俗

岩波書店
総力戦体制と「福祉国家」 戦時期日本の「社会改革」構想
高岡裕之
初版2011・最終版2012年四六判324頁税込4180円(本体3800円)ISBN978-4-00-028378-6
戦後「福祉国家」とは全く異なる、総力戦体制=「福祉国家」の姿を、厚生省設立などの「戦時社会政策」の検証を通して浮かび上がらせる。

岩波書店
マルク・ブロック 封建社会
マルク・ブロック/堀米庸三監訳
初版1995・最終版2008年◆A5判◆664頁◆税込10780円(本体9800円)◆ISBN978-4-00-002092-3
20世紀の歴史学が生み出したまさに古典。比較史の方法を駆使し、封建社会の全体史を息づく人間の心性とともに再現する。新しい歴史学の胎動。

創元社
ケルトの神話・伝説
F・ディレイニー/鶴岡真弓訳
初版2000・最終版2010年◆四六判◆392頁◆税込4400円(本体4000円)◆ISBN978-4-422-23006-1
アイルランド、ウェールズ、コンウォール等に伝わる主要な物語十九編の様々なバージョンを、幼時から親しんできた作者が集大成した決定版。

法政大学出版局
石器時代の経済学
M.サーリンズ/山内昶訳
初版2012・最終版2012年◆四六判◆454頁◆税込5280円(本体4800円)◆ISBN978-4-588-09950-2
未開社会の狩猟・採集に関する豊富なデータを駆使して「始原のあふれる社会」を実証的に描き、生産とは何かを見なおしつつ生存のための経済活動の一般理論を構築。

みすず書房
チーズとうじ虫 16世紀の一粉挽屋の世界像
カルロ・ギンズブルグ/杉山光信訳
初版1984・最終版2012年◆四六判◆368頁◆税込4400円(本体4000円)◆ISBN978-4-622-09023-6
異端審問記録ほか埋もれた史料からイタリア地方農民のミクロコスモスを復元。民衆文化の深層にスリリングに迫る現代歴史学の名著。解説・上村忠男 新装で復刊。

吉川弘文館
明治の青年とナショナリズム 政教社・日本新聞社の群像
中野目徹
初版2014・最終版2014年◆A5判◆352頁◆税込10450円(本体9500円)◆ISBN978-4-642-03833-1
欧化主義の風潮に対抗した政教社と日本新聞社。その中心で活躍した青年たちの思想と行動を読み解き、近代のナショナリズム像を描く。

吉川弘文館
日本古代女官の研究
伊集院葉子
初版2016・最終版2016年◆A5判◆342頁◆税込9900円(本体9000円)◆ISBN978-4-642-04631-2
律令制は女性を官僚機構から〈排除〉する一方、重要政務を課し行政運営のなかに〈包摂〉した。女官の実態と政治的役割に迫る。

〔2021復刊書目〕 心理・教育

創元社
ユング心理学辞典
A・サミュエルズ、B・ショーター、F・プラウト/山中康裕監修/濱野清志、垂谷茂弘訳
初版1993・最終版2009年◆四六判◆226頁◆税込4950円(本体4500円)◆ISBN978-4-422-11156-8
3人の発達派ユンギアンによる本格的辞典。ユングの基本用語のみならず、フロイト派の精神分析用語もとり入れた広範な内容。

未來社
マインドストーム 子供、コンピューター、そして強力なアイデア
シーモア・パパート/奥村貴世子訳
初版1982・最終版2017年◆A5判◆276頁◆税込4180円(本体3800円)◆ISBN978-4-624-40043-9
MIT人工知能研究室でロゴプロジェクトを率いる著者が、ロゴの教育理念とコンピュータによる子供の創造性開発の可能性を語る。

〔2021復刊書目〕 文学・芸術

勁草書房
反美学 ポストモダンの諸相
ハル・フォスター編/室井尚、吉岡洋訳
初版1987・最終版2011年◆四六判◆312頁◆税込3850円(本体3500円)◆ISBN978-4-326-15191-2
20世紀末の社会的大変動の本質をとらえたポスト・モダニズムの古典。ハーバーマス、ボードリヤール、ロザリンド・クラウスらの論考を収録。

勁草書房
ミメーシスを超えて 美術史の無意識を問う
岡田温司
初版2000・最終版2001年◆四六判◆280頁◆税込4180円(本体3800円)◆ISBN978-4-326-85166-9
美術史における無意識のイデオロギーを相対化し、主体、トラウマ、メディウムと皮膚、見る・触れる、メタファー/メトミニーなどの観点から再考。

創元社
校正のこころ 積極的受け身のすすめ 増補改訂第二版
大西寿男
初版2009・最終版2009年◆四六判◆256頁◆税込2420円(本体2200円)◆ISBN978-4-422-93219-4
グーテンベルク以来の出版革命期を迎えた現代に、言葉を正し、整えるという校正の仕事はどうあるべきか。待望の増補改訂版。

白水社
ラヴェル
ヴラディミール・ジャンケレヴィッチ/福田達夫訳
初版1970・最終版2005年◆四六判◆292頁◆税込5280円(本体4800円)◆ISBN978-4-560-09846-2
絢爛たる技巧の奥にひそむ作曲家の内面を透視し、ラヴェルの創作美学の本質に迫る。同時代を生きた碩学の比類なき作曲家論。

白水社
罠/ボーイング=ボーイング
サガン、カモレッティ、トマ、ルッサン/岩瀬孝、鈴木康司、大久保輝臣、和田誠一訳
初版1966年◆四六判◆352頁◆税込4400円(本体4000円)◆ISBN978-4-560-09849-3
サガン「スエーデンの城」、カモレッティ「ボーイング=ボーイング」、トマ「罠」、ルッサン「終わりなき愛」の傑作戯曲4作品を収録。

白水社
ワット
サミュエル・ベケット/高橋康也訳
初版1971・最終版2010年◆四六判◆329頁◆税込4620円(本体4200円)◆ISBN978-4-560-09848-6
語りえないものを語ろうとする主人公ワットの精神の破綻を、複雑な語りの構造を用いて示した現代文学の奇作。

みすず書房
病むことについて
ヴァージニア・ウルフ/川本静子編訳
初版2002・最終版2002年◆四六判◆264頁◆税込3300円(本体3000円)◆ISBN978-4-622-09024-3
ウルフの多様な側面が浮かびあがる、エッセイ14篇+短編2篇。インフルエンザに罹ったときの心理、『源氏物語』の書評、父の思い出、伝記論、書評論… 新装で復刊。

未來社
古事記研究
西郷信綱
初版1973・最終版2002年◆A5判◆320頁◆税込5280円(本体4800円)◆ISBN978-4-624-60022-8
『古事記』のテキストを根源的に読み直し、従来の文献学的解釈を徹底的に批判するなかから『古事記』読解の方法を画期的に方向転換させた決定版。

未來社
ハムレット・マシーン シェイクスピア・ファクトリー
H・ミュラー/岩淵達治、谷川道子訳
初版1992・最終版2004年◆四六判◆326頁◆税込3520円(本体3200円)◆ISBN978-4-624-70070-6
旧東独に留まりながらヨーロッパの歴史を拠りどころに強靱な批判精神を発揮した劇作家H・ミュラーの注目のテクスト集。「タイタス解剖」他も収録。

吉川弘文館
平等院鳳凰堂 現世と浄土のあいだ
冨島義幸
初版2010・最終版2010年◆A5判◆212頁◆税込3300円(本体3000円)◆ISBN978-4-642-08032-3
現世と極楽浄土を結ぶ空間=平等院鳳凰堂。建築・仏像・絵画・庭園などを捉え直し、平安仏教の世界観と人々の祈りの姿を読み解く。

〔2021復刊書目〕 法律・経済・政治

勁草書房
自由と権利 政治哲学論集 新装版
ジョセフ・ラズ/森際康友編
初版1996・最終版2008年◆四六判◆350頁◆税込4180円(本体3800円)◆ISBN978-4-326-35181-7
自由、権利、公正、道徳など錯綜する諸価値をどのように秩序づけるか。ロールズらが提起した問いを射程に、より根源的なアプローチを試みる。

東京大学出版会
日本森林行政史の研究 環境保全の源流 増補新装版
西尾隆
初版1988・最終版1988年◆A5判◆402頁◆税込8580円(本体7800円)◆ISBN978-4-13-030179-4
明治維新期から戦後改革にいたる森林行政の史的展開を、公共政策と行政官庁との間に働く相互作用という視点から考察した先駆的研究。

東京大学出版会
法人処罰と刑法理論 増補新装版
樋口亮介
初版2009・最終版2009年◆A5判◆240頁◆税込6380円(本体5800円)◆ISBN978-4-13-031199-1
法人処罰をめぐる議論を国際比較を踏まえて多角的に検討し、刑法理論上での位置づけを明らかにするとともにその具体的要件を構築する。

東京大学出版会
台湾の政治 中華民国台湾化の戦後史 増補新装版
若林正丈
初版2008・最終版2010年◆A5判◆528頁◆税込8140円(本体7400円)◆ISBN978-4-13-030180-0
「中華民国台湾化」の視角から、自らのアイデンティティと政治主体の変化に着目して台湾政治の構造変動を描いた通史の決定版。

〔2021復刊書目〕 自然科学・医学

紀伊國屋書店
誤差論
カール・F.ガウス/飛田武幸・石川耕春訳
初版1981・最終版2011年◆A5判◆190頁◆税込3850円(本体3500円)◆ISBN978-4-314-01082-5
確率論、天文学、測地学などの分野で先導的役割を果たしてきたガウス誤差論を初集成。ガウスは自然現象からいかに豊かな数学的法則を導きえたのか。

青土社
現代建築史
ケネス・フランプトン/中村敏男訳
初版2003・最終版2015年◆A5判◆660頁◆税込8360円(本体7600円)◆ISBN978-4-7917-6014-5
近現代建築の巨匠・様式・技法・実践を、広汎かつ周到に掘り下げ、建築におけるモダニズムの思考と展開に迫る、建築史の重要基本書。

創元社
偶然とは何か 北欧神話で読む現代数学理論全6章
イーヴァル・エクランド著/南條郁子訳
初版2006・最終版2013年◆四六判◆280頁◆税込3300円(本体3000円)◆ISBN978-4-422-40019-8
くじ引き、量子力学、不完全性定理、金融オプションなど一件関係ないテーマ間を縦横に移り、透徹した視線で諸現象の本質を鮮やかにえぐり出す。

東京大学出版会
野生馬を追う ウマのフィールド・サイエンス 増補版
木村李花子
初版2007・最終版2007年◆A5判◆224頁◆税込4180円(本体3800円)◆ISBN978-4-13-063951-4
周縁に生きる馬たちに魅せられ世界を彷徨う女性研究者が描く馬と人間をめぐる動物記。馬たちの息づかいとフィールドの情景を鮮やかに描写する。


読者からのメッセージ

■リストを見ていたら読みたくなる本がいっぱいありました。このリストを保存して参考にさせていただきます。書物復権の活動、応援しています。(64 歳・翻訳者)
■その分野において外せない基本書、名著の復刊を希望します。
■ここ最近、心理学、哲学や美に関する書籍をよく読んでおり、復刊が叶えば嬉しいと感じる書籍にチェックを入れさせていただきました。コロナ禍で今後の生き方について考えることも増え、先人の知識を効率良く吸収できる本は、益々価値が上がっていくことと思います。少しでも多くの本が復刊されることを願っております。(31 歳・会社員)
■気が付けばいつの間にか読めなくなっている入手の難しい書物は多くあります。ぜひ復刊を続けてください。(68 歳・会社員)
■学生時代、図書館で読んだ本をもう一度手に取りたくてリクエストしました。ぜひ、よろしくお願いします!
■いまある社会に疑問を持っているので、それを考えるための手がかりになるような本を探しています。今回リクエストしたものの多くはそういう動機に基づいています。(29 歳・書店員)
■新型コロナウイルスによって、経済活動が停滞し、文化活動が制約を受ける中、書物復権が今年も実施されるのは、ありがたいことです。(56 歳・公務員)
■年々、専門書が発行されてから手に入りにくくなるまでの期間が短くなっているように感じます。比較的高額ということもあり購入を先送りにしがちですが、あっという間に入手困難になってしまうのも残念です。今回のリストもほんの5 年前の刊行のものもあり驚きました。(43 歳・会社員)
■どうしても人文・思想的なものに関心が寄りがちな本企画ですが、歴史関係もコンスタントに復刊していただければ嬉しく存じます。(37 歳)
■若い頃は「本を読む」事に興味を持たず疎かにしてきました。だがこの年になり「本を読む」ことの大切さに改めて気づきました。しかし、時、既に遅く、その時代に読んでいれば良かったと思う書は絶版等になっていました。「無念!読むことが叶わず」と諦めていました。しかしこの「書物復権」という取り組みが、その諦めていた私の思いに、一筋の光を射してくれました。本当に有難いことであります。(55 歳・会社員)
■関心があるものの書店になく、古書価も高く購入できないものをリクエストしました。(26 歳・会社員)
■毎年楽しみな「書物復権」。ただ昨年は緊急事態宣言もあってか書店での展開が少なく残念でした。今年こそは書店で内容を確認し、レジへ持って行くのが普通にできるようになってほしいと思います。(53 歳・大学職員)
■ご参加の出版社さん以外の絶版本も実質的には手に入らないものが多いので、より多くの出版社さんを巻き込んだ企画になることを望んでおります。(23 歳・会社員)
■復刊事業の対象となる専門書については厳しい状況が続いていると思いますが、さすがに気軽に買える価格ではないので、自分の関心領域の本が復刊されたときに購入してきました。ただ、関心事項も5 年スパンくらいで変わってくるので、買いそびれているうちにまた品切れとなる、残念な思いも何度かしております。今回が25 回目ということですが、本事業の継続を切に願っております。(60 歳・団体職員)


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岩波書店
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋 2-5-5
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